レム睡眠行動障害
レム睡眠行動障害は、Prof Schenckが1986年に提唱した睡眠時随伴症(パラソムニア)です。レム睡眠期に筋緊張の脱失が起こらないため、夢の中の動作が現れる現象です。
レム睡眠行動障害の症状
- 寝言や異常行動が、本人の夢の内容と一致することが特徴です。
- 異常行動の間も目を閉じています
- 家族など周囲の人が刺激を与えると、すんなり目が覚ます。
- 「せん妄」と異なります。
- 夢の内容も簡単に思い出せます。
- 夢の内容は暴力的なものや、物騒なものが多いとされています。
- 起き上がって立ち上がると転倒することが多いので注意が必要です。
レム睡眠行動障害の原因
レム睡眠行動障害のうち40%は頭部の外傷、髄膜炎や脳炎といった炎症性疾患、アルコール、睡眠不足、抗うつ薬の内服などに伴って二次的に引き起こされます。
基礎疾患として
- 脳幹部の腫瘍
- パーキンソン病
- オリーブ橋小脳萎縮症
- レビー小体型認知症
- 多発性硬化症などの神経変性疾患
- くも膜下出血
- 虚血性脳血管障害
- 脳血管性疾患
などがあります。
レビー小体型認知症の初期症状として、レム睡眠行動障害が注目されています。
レビー小体型認知症の診断基準内の示唆的特徴に含まれていますが、アルツハイマー型認知症では稀です。
残りの60%は原発性で、明確な原因は不明です。
レム睡眠行動障害と間違えられやすい病気は?
てんかん、せん妄、小児で多い睡眠時遊行症、睡眠時驚愕症。
睡眠時遊行症、睡眠時驚愕症は睡眠の前半に多いノンレム睡眠で起こります。
レム睡眠行動障害の頻度が多いのはどんな人?
レム睡眠行動障害の発症年齢は広く小学生から、高齢者まで起こります。
平均発症年齢は52歳頃です。
頻度が高いのは50〜60代以上の高齢男性です。
高齢者の0.3〜0.5%がレム睡眠行動障害であると言われます。
レム睡眠行動障害の検査
血液検査、頭部MRI検査によって、隠れた原因疾患がないか調べます。
PSG検査によって、夜間の異常行動がどの睡眠段階で行われているのか調べます。
REM without Atonia (レム睡眠期に筋肉の弛緩が消失する現象)の検討を行います。
レム睡眠行動障害の治療
- 原因の除去が第一です。
- すぐに起こす。
- 転倒の予防策:ベッドを低いものに交換する。布団で寝る。
- 薬物療法として、ベンゾジアゼピン系の抗てんかん薬であるクロナゼパムを使用します。
抑肝散など漢方薬も用いることがあります。
三環系抗うつ薬やメラトニン系の睡眠薬が有効な場合があります。